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ほどなくして屋上に到着した。
屋上へと続く扉に手をかけ、開けようとした。
が。
鍵がかかっているようで、開かない。
俺はノブのところについている鍵をひねって開け、扉を押した。
なのに扉は開かない。
押すのではなくて引くのか?
引いてみたけど開かない。
扉をよく見る。
やっぱりこの扉、押してあけるらしい。
ぐぐ、とさっきより力を入れてみるけど、開かない。
向こうで押さえている?
そのことに気がつき、全身の血がさーっと引く音がした。
まさか……!
俺は手に持っていた文緒のかばんを床に置き、扉を必死に押す。
がん、がんと金属音が響く。
やっぱりだれかがなにかを置くかして開かないようにしているらしい。
俺は力いっぱい扉を押し、向こう側のなにかを押しのける。
ゆっくり、だけど確実に扉が開いてきて……。
屋上が少し見えた。
だけどその先にはなにも見えない。
「いるのか?」
いる、いないはともかく、俺は屋上に向かって声をかけた。
向こうに人がいるのは確かなようで、気配を感じる。
俺はもっと力を入れて扉を開き、ようやくひとり通れるくらいに開いたところを無理やり身体をねじ入れ、屋上に出る。
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