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「蓮から聞いたけど、文緒が期末テストで十位以内に入らないとおまえら別れるんだって?」
月曜日の朝、会社に行く車を運転している俺の横に座っている兄貴がいきなりそう言ってきた。
「成り行き上、そうなった」
兄貴は眼鏡をはずして目を細めて俺を見ている。
「ふーん。この土日は本当に勉強を教えていたんだな」
うっさい。見るんじゃない。
「身体に教えることはまあ、極力控えた方がいいかもな、その勝負がついた後でも」
兄貴の言葉にハンドル操作を誤りそうになる。
そこまで見るな、この変態っ!
「あと……外はやめておけ」
だああああ!
「どこまで見てるんだ! この変態!」
このまま目の前の車に突っ込むぞ!
この土日で目の前に文緒がいても突っ込めてないんだからな!
……って俺、もうどれだけ飢えてるんだよ。
「いやぁ、つい興味本位で」
これだから見える人って嫌だわ。
俺はため息をついて、運転に専念することにした。
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