第一章【不気味な朝】

10/14
前へ
/36ページ
次へ
「さて……と。声は小さめにな」 俺の部屋に入ってきた柚木はいつもとは違った感じではあった。 他人の部屋だから、興味があるのかそこら中をキョロキョロと見渡している。 「そんなに見たって面白いものはないぞ」 「意外ね」 「ん?……何が?」 「男の人の部屋ってもっとゴチャゴチャしたものだと思ってたわ」 まあ確かに俺の部屋は片付いている。 友達の家よりかは物も少なく、部屋のレイアウトはシンプルだ。 しいて言えば本棚が汚いぐらいか。 雑誌置き場には見られたくない雑誌が何冊かある。言わずもがな。 「ほめことばとして受け取っておく、だがあんまり人の部屋をキョロキョロ見渡すものじゃないぞ」 「わかってるわよ、ヘヘン、あなた何か隠し事でも?」 何を言っているんだこいつは……。
/36ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加