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「ういすー」
何事もないかのように俺は長谷川に手をふった。
「ういすー、て。…え?」
やはり驚いていた。
「あー…、今日は柚木もいるから!」
「ごめんねー、たまたまなの」
「あっー。まあ別にいいぜー?」
こいつ妙にニヤニヤしている。
俺にアイコンタクトを送っている。なんだコイツは……。
そういえば何カ月か前かの会話を思い出した。
――――。
「おい、山根―。お前柚木と仲いいよなぁー」
「あー?なんだよいきなり」
「いや、うらやましいなーって」
「そうか?…謎な奴でめんどくせーよ」
「かわいいじゃん、オシャレだしよ」
――――。
……そうか、こいつがにやけている理由がわかった。
少なくともこいつは柚木を嫌ってはいない。むしろ好きなほうだ。
いや、むしろというか特別にかわいいと思っている。
「長谷川くん、今日の髪型いい感じね」
「うおおお!ありがとう!」
「おい、長谷川うるさいぞ」
「ああぁ、すまんすまん」
長谷川のテンションは高めだった。いや、うっとうしいくらいに高い。
そして俺らは三人で学校に向かって歩きだした。
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