第一章【不気味な朝】

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「ういすー」 何事もないかのように俺は長谷川に手をふった。 「ういすー、て。…え?」 やはり驚いていた。 「あー…、今日は柚木もいるから!」 「ごめんねー、たまたまなの」 「あっー。まあ別にいいぜー?」 こいつ妙にニヤニヤしている。 俺にアイコンタクトを送っている。なんだコイツは……。 そういえば何カ月か前かの会話を思い出した。 ――――。 「おい、山根―。お前柚木と仲いいよなぁー」 「あー?なんだよいきなり」 「いや、うらやましいなーって」 「そうか?…謎な奴でめんどくせーよ」 「かわいいじゃん、オシャレだしよ」 ――――。 ……そうか、こいつがにやけている理由がわかった。 少なくともこいつは柚木を嫌ってはいない。むしろ好きなほうだ。 いや、むしろというか特別にかわいいと思っている。 「長谷川くん、今日の髪型いい感じね」 「うおおお!ありがとう!」 「おい、長谷川うるさいぞ」 「ああぁ、すまんすまん」 長谷川のテンションは高めだった。いや、うっとうしいくらいに高い。 そして俺らは三人で学校に向かって歩きだした。
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