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「‥」
視線を感じる。一軒家とはいえ築20年。そろそろ座敷わらしがいついてもおかしくないボロ家なので、そういったインスパイヤーがあってもなんら不思議ではないのだけれど、しかし、視線だけではなく、隙間風のような鼻息、もとい鼻息のような隙間風まで聞こえてしまっては、いよいよをもって、この家もリフォーム時かと思えてくる今日この頃である。
しかし、そう無理やりに解釈するのにも限界というものが存在する。
いや、たしかに。もう慣れたといえば慣れたのだが、おかしなことに木造二階建ての隅の部屋、すなわち俺の部屋には、ひとつ不自然な穴が開いている。一見一世代前のFF式ストーブの名残かとも思える小さな穴なのだが、決して塞ぎ忘れているわけではなく、とすれば、これは俺の知らぬうちに勝手に開いていたということになるのだが、いつしかそこからは視線どころか少女の声が聞こえてくるようになった。しかし、あらかじめ言っておくけれどそいつは幽霊の仕業ではない。
「‥」
「‥‥」
「お前はあれか、そんななりで実は警視庁捜査一課のデカだとかいうオチですか?魔法少女キャラは開始早々一話でさようならか!?」
「いえいえまさか。わくさんには憧れているけれど、私はれっきとした魔法少女です。私の格好はご覧になったでしょう?」
そう。見た。
確かに見た。
銀糸のようにつややかな髪、瞳の色は青く透き通っていて、服装は魔法使いキャラに登場でもしそうな奇抜な格好。それだけでも十分に異質なのだが、
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