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「どうした?何時も(休み)なら3時位まで俺の事はほったらかしのくせに」
『…とりあえず鳴桜邸を見てみて』
飛鳥が窓の外――向かいにある屋敷。鳴桜邸を指差す。ベッドから下りて窓の外を見ると何やら同い年位の少年二人に、宙に浮いた少女が屋敷に入っていくところだった。
『絶対あの宙に浮いてた子って私と同じだよね?』
「まぁ、そうだろうな。とりあえず引っ越してきたみたいだから挨拶でもしてくるか」
思い立ったらすぐ行動に移る。ザバァーっと風呂に入り、上がると着替えて朝飯(と言う名の昼飯)を軽く作り、食う。飛鳥に言われて引っ越ししてきたばかりだから何か食べ物を持って行くことにする。ちなみに持ってく物は俺が作ったショートケーキだ。
俺が鳴桜邸の前まで来ると、中から漆黒のロングコートを着た美人が出てきた。相手が笑みを浮かべたので、俺は軽く会釈を返す。その美人は俺の右上を一瞥した後、その場から去っていった。
『ねぇ、今の人私の事見てたよね?』
心なしか飛鳥の声が少し震えている気がしたが、気にしないことにした。
「飛鳥。お前は姿を消しとけ。面倒事に巻き込まれそうだから」
『了~解!』
敬礼しながら飛鳥はその場から消える。飛鳥が消えたのを確認してからチャイムを鳴らす。
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