φプロローグ2

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前と同じように意識が覚めると、俺は全身を包帯でぐるぐるに縛られたまま、狭い病室の隅っこに一晩中放置されていた。 自分の状態を見て、よくこれで生きてるな、と朦朧とした意識の中で、俺は冷静にそんなことを考えていると 『ヤッホー。なんだか暇そうだね』 幽霊としての飛鳥の声を聞いたのは、そのときが最初だったのを覚えている。いや、かなりの怪我を負っている俺を笑いながら見下ろす奴を誰が忘れるか。 彼女がすでにこの世のものではなくなっていることは分かっていたが、その姿を見て改めて実感した。普通の人間は闇の中でぼーっと輝きながら、宙に浮いたりなどしないから。 『でも大丈夫。これからは私が湊の話し相手になってあげる。そのかわり―――……』 まあ、そんな感じで、飛鳥は万象の副葬処女になった。 と言うことは俺は彼女に取り憑かれたってことになる。
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