φ噛み合う歯車

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今日は四月最初の木曜日。 高校の入学式を翌日に控えた、春休み最後の一日だ。 だいたいの人はこの最後一日を有意義に使うことだろう。例えば友達と遊んだり。カップルならデートだったり。気分を入れ換えて新しい自分を見つけるチャレンジャーな奴はイメチェンしたりと人それぞれに自分が有意義だと思った行動をしているはずだ。 え?お前はどう過ごしているかって?。それはお前決まってんだろ。 「…一日中…寝るんだ…よ…zzZ」 『こらっ!そんな事私が許すわけないでしょ!!』 ドンッ! 「ぐぁっ!」 怒声と共に落ちてきた腹部への一撃により、俺の有意義な睡眠時間が終わりを告げた。 『……何処にも有意義な所なんて見つからないんだけど?』 「……出来れば心を読まないでくれ。あと、もう少し安全な起こし方を要求する」 俺は殴られたお腹を擦りながら俺の右隣。床から30センチほどの場所に浮いている少女―――飛鳥に抗議する。 『別に心を読んでる訳じゃないよ。湊は考えてる事が顔に出やすいんだよ。あと、最初はちゃんと普通に声掛けたり揺すったりしてるんだよ?それでも起きない湊が悪いんだよ』 「うぐ!……それを言われると返す言葉がねぇ…」 飛鳥の言うとおり俺は耳元で叫ばれようが揺すられようが全然起きない。睡眠時間はちゃんと取っているのだがとにかく朝に弱い。 まぁ、それは置いといて
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