1人が本棚に入れています
本棚に追加
ああ、と膨らんだリュックを眺めて息を吐いた。それを見ると僕の心は軽くなる。嘘みたいに、羽がついているかのように、ひどく軽く、軽くなる。こんなにも晴れやかな気分は初めてだった。
ああ、ああ、僕は今、とても気分がいい。このまま殺されたってかまわない。すんなりと、笑いながら成仏できる。
うふふ、えへへ、と笑いながらふとんの上にころがった。僕は明日、消える。みんなの前からいなくなって、どこか遠いところへ行く。ずっと僕はこの日を待っていた。僕が消えても誰も気付かないような、困らないような存在になることを待っていた。消える日を待っていた。ずっと、ずっと。
そしてそれが今日。消えるのは明日だ。
僕はいい気分のまま、眠りについた。
最初のコメントを投稿しよう!