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僕をのせた電車は動き出した。なぜか彼女は僕を見送ってくれた。
遠く離れてしまった駅を見ると、彼女は当然のことながらもういない。駅の構外で彼女らしき姿を見つけ、僕は唇だけでばいばいとつぶやいた。きっともう会うことはないだろう。
僕は消える。みんなの前から。そして一年経てば、もう、僕は誰にも思い出されることはないだろう。
誰かの心に僕がいなくてもかまわなかった。僕は消える。みんなの前から。ずっとこれを望んでいた。それが実現するとき、僕は自由になる。そして僕は自由になった。
だから遠いところまで行く。行けるかぎりの遠くへ。誰も僕を知る人がいない遠くへ。
誰かの中に僕がいなくてもかまわなかった。僕がここにいることは僕が知っている。それだけでよかった。十分だった。
Even if nobody knows where I am,
――I am here!
ぼくはここにいるよ!
(w200604)
(20080405/20100523)
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