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「………全軍に撤退命令を出しなさい」
「ハッ!」
扉の所に控えていた兵士が走っていった。その瞬間、周りが徐々に騒がしくなる。
「王よ。それでは敵軍を止める者がいなくなります」
シムリーが立ち上がりながら、王に問う。
「いいえ、そのかわり……私が出ます!……そしてもう騎士達に戦わせる事はありません」
「なッ!!……まさか!?」
王の言葉に顔色を変える騎士甲冑の白髪の男性。
何かを発言しようとするが王の言葉によって遮られる。
「全軍、ならびに全国民に通達!!国を捨て、聖王オリヴィエ様に亡命を願います。全員、直ちに準備を!
殿(しんがり)は私がつきます!!」
王の言葉に不満を言う者、涙を流す者、拳を握り締める者、様々な者がいたが、全員、静かに王の間を出ていった。
部屋を出ていく者の中にシムリーの姿もあった。
部屋に残ったのは、王と白髪の男性のみ。
「……ソフィ様」
「ごめんなさい、エスタード。
あなたは私が小さな時からよく尽くしてくれました」
「勿体無きお言葉…」
「最後に一つ…お願いをしていいですか?」
玉座からゆっくりと立ち上がり、窓まで歩き、外を見ると。
多くの馬車や人が城を出ていっていた。
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