始まり

8/9
前へ
/19ページ
次へ
「………全軍に撤退命令を出しなさい」 「ハッ!」 扉の所に控えていた兵士が走っていった。その瞬間、周りが徐々に騒がしくなる。 「王よ。それでは敵軍を止める者がいなくなります」 シムリーが立ち上がりながら、王に問う。 「いいえ、そのかわり……私が出ます!……そしてもう騎士達に戦わせる事はありません」 「なッ!!……まさか!?」 王の言葉に顔色を変える騎士甲冑の白髪の男性。 何かを発言しようとするが王の言葉によって遮られる。 「全軍、ならびに全国民に通達!!国を捨て、聖王オリヴィエ様に亡命を願います。全員、直ちに準備を! 殿(しんがり)は私がつきます!!」 王の言葉に不満を言う者、涙を流す者、拳を握り締める者、様々な者がいたが、全員、静かに王の間を出ていった。 部屋を出ていく者の中にシムリーの姿もあった。 部屋に残ったのは、王と白髪の男性のみ。 「……ソフィ様」 「ごめんなさい、エスタード。 あなたは私が小さな時からよく尽くしてくれました」 「勿体無きお言葉…」 「最後に一つ…お願いをしていいですか?」 玉座からゆっくりと立ち上がり、窓まで歩き、外を見ると。 多くの馬車や人が城を出ていっていた。
/19ページ

最初のコメントを投稿しよう!

77人が本棚に入れています
本棚に追加