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洞窟の中、いたって普通。
ただ、外から見たら真っ暗だったはずなのに明かりが灯ってる。さらに、振り返っても外の景色は見えなくて、岩肌が明かりに照らされてるだけ。
「入口どこー?」
「元居た場所には戻れないんだね。」
物珍しげに辺りを見回す藍那さんと絢くん。壁を背にしてちんまり座ってる年長ふたり。視線に気付いたおじさんがふにゃって笑った。
「よーし、いくかあ」
気の抜ける掛け声と共に立ち上がる。
「あの奥、なんかありそうだ。」
「さとっさん待ってよ、また消えたりしないでよ?」
愁さんが慌てたように追いかけて、おじさんの腕を引く。
「しゅうくん心配しすぎ。」
「だって、」
「これならいーだろ」
腕掴んでた愁さんの手を外して、繋ぎ直す。
……むぅ。
愁さんの照れ顔がちょっとむかつく……、ってなんで?
なんでムカついてんの俺。
「オレも手ぇ繋ぐ~!」
「ふふ、はい。」
あ、藍那さんちゃっかり愁さんと…。
「カナ、行くぞ。」
「…ぁーい。」
奥に向かって歩いていく。一本道でよかった。初っ端から複雑なダンジョン攻略なんて、意欲無くすからね。
暑くも寒くも無い温度の中、ひたすら前に歩いてく。と、少し拓けた場所に出た。
「わ、あれなあに。」
藍那さんが指した方向、なにやら縦長の…台?みたいなのがあってぼんやりと青く光ってる。
近づいてみると胸の高さ位で、なんとなく手をかざすと表面に文字が浮かび上がった。
「……何語?」
「変なカタチー!しょーけー文字?」
「解読出来なくね?」
なにかヒントは?台の側面をペタペタ触ってみたり、あたりをぐるっと見回してみても特に変わったところはなくて。
唯一の手掛かりがこんなんじゃ…。
「ほんやくコンニャク落ちてなぁい?」
「…藍那さん、ガチでボケんのやーめーてー。」
ガックリきちゃった反動で、ぺたっと台の上に手を付いた。
「う…わ!」
「へ?どしたのミヤ!?」
手の平から頭ん中にいろんなイメージが流れ込んでくる。文字や言葉だったり景色だったり。ひとつひとつを捉えることは出来ないスピードで。だけど…
「…読める、」
そこに書いてあることが理解出来てしまった。
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