洞窟の向こう側

3/7
前へ
/24ページ
次へ
洞窟の中、いたって普通。 ただ、外から見たら真っ暗だったはずなのに明かりが灯ってる。さらに、振り返っても外の景色は見えなくて、岩肌が明かりに照らされてるだけ。 「入口どこー?」 「元居た場所には戻れないんだね。」 物珍しげに辺りを見回す藍那さんと絢くん。壁を背にしてちんまり座ってる年長ふたり。視線に気付いたおじさんがふにゃって笑った。 「よーし、いくかあ」 気の抜ける掛け声と共に立ち上がる。 「あの奥、なんかありそうだ。」 「さとっさん待ってよ、また消えたりしないでよ?」 愁さんが慌てたように追いかけて、おじさんの腕を引く。 「しゅうくん心配しすぎ。」 「だって、」 「これならいーだろ」 腕掴んでた愁さんの手を外して、繋ぎ直す。 ……むぅ。 愁さんの照れ顔がちょっとむかつく……、ってなんで? なんでムカついてんの俺。 「オレも手ぇ繋ぐ~!」 「ふふ、はい。」 あ、藍那さんちゃっかり愁さんと…。 「カナ、行くぞ。」 「…ぁーい。」 奥に向かって歩いていく。一本道でよかった。初っ端から複雑なダンジョン攻略なんて、意欲無くすからね。 暑くも寒くも無い温度の中、ひたすら前に歩いてく。と、少し拓けた場所に出た。 「わ、あれなあに。」 藍那さんが指した方向、なにやら縦長の…台?みたいなのがあってぼんやりと青く光ってる。 近づいてみると胸の高さ位で、なんとなく手をかざすと表面に文字が浮かび上がった。 「……何語?」 「変なカタチー!しょーけー文字?」 「解読出来なくね?」 なにかヒントは?台の側面をペタペタ触ってみたり、あたりをぐるっと見回してみても特に変わったところはなくて。 唯一の手掛かりがこんなんじゃ…。 「ほんやくコンニャク落ちてなぁい?」 「…藍那さん、ガチでボケんのやーめーてー。」 ガックリきちゃった反動で、ぺたっと台の上に手を付いた。 「う…わ!」 「へ?どしたのミヤ!?」 手の平から頭ん中にいろんなイメージが流れ込んでくる。文字や言葉だったり景色だったり。ひとつひとつを捉えることは出来ないスピードで。だけど… 「…読める、」 そこに書いてあることが理解出来てしまった。 .
/24ページ

最初のコメントを投稿しよう!

166人が本棚に入れています
本棚に追加