洞窟の向こう側

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書いてある文字は明らかに日本語じゃないのに意味が解る。考えるより先に、イメージが頭に入ってくる。 文字の羅列は手の動きに合わせてスクロールしていく。 ふむふむ…。 「状況説明書かれてる?」 「ここ周辺のマップは見れるみたいですけど。愁さんここに手置いてみてよ。」 「えっ」 横から覗き込んでた愁さんは慌てて両手を背中に隠した。 「なによ。」 「…な、んとなく」 「はーやーく!」 「わ、ちょっと!」 愁さんの右手掴んでパネルの上に押し当てた。 「どうですか?」 「どうって、別になにも…?」 心底ほっとした表情浮かべてる。 あとの3人も変化はなくて。これ(取説?)読んだり操作できんのは限定ひとりらしい。 「攻略にはまず、ジョブを選ぶみたいです。」 「じょぶ?なに?」 「職業。」 「仕事するの?」 「あんたロープレやったことあるでしょ。あんな感じ。」 「あ、魔法使いー、とか? へ~!なになに?なんにする?」 一番盛り上がってるのは藍那くん。それよりは少し低めのテンションで、だけど興味ある様子の絢くん。 不安そうな愁さんと、関心なさそうにぼんやりしてる最年長は遠巻きに眺めてる。 お姫様を助けに行く、とか ラスボス倒して世界に平和を、とか そんな設定はこの時点では見えてこないけど。 どうやったら戻れるのかわからないからには、この世界のルールに沿って動くしかないってこと。
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