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「下手くそか!
使えねーにも程があるっつーの」
「そこまで言わなくていーじゃん!オレだっていっしょーけんめーやってるんですーぅ!」
防御シールド見当違いの方向に飛ばすし、攻撃の相乗に風を起こさせれば見事に向かい風だし。火傷するっつーの。
うっかりしてると身内に攻撃されかねない。
「アレ実戦でやったらフルボッコだかんな。」
「やんないよ、もっと信用して!」
「つうか信用させてください。
ちょっとおじさんの様子見てくるから、俺が戻るまでやってなさいよ?」
「らじゃー!」
「軽いな。まあいいけど」
集中し始めた藍那さんから離れて年長ふたりを探す。
暫く歩いた先に土くれが転がっていた。それを辿っていくと大の字に転がっているおじさんを発見。
ふむ。思った通り。
こっちの完成度は心配なさそう。まずはひと安心。
しかしだ。確かに終わったら何しててもいいとは言ったけれども。
こんな遮るものが何も無いところでゴロ寝とか、ちょっと無防備なんじゃねえのかな。
この人は野生のカンみたいなもの備わってそうだし。加えてここら一帯は安全そうだしいいっちゃいいけど。
かと言って放置するのもなんだし傍らにしゃがみこんだ。
「いってーーー!!」
「は?愁さん?」
おじさんの肩を揺すろうと伸ばした腕を引っ込め立ち上がる。
声が聞こえた方へ茂みをかき分け歩いてくと、愁さんの背中が見えた。
「なにしてんの。」
「あー、いや…」
愁さんの前にはちょっと大き目の…なんだか目つきの悪いリスが歯を剥いている。
「なわばりに入って怒らせちゃったみたい。」
苦笑いの愁さんは、ごめんね?と言葉を掛けてその場を後にする。
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