はじまりの朝

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「おーい、こっちこっち!」 先の方で茉絢が手を振ってる。 あいつもテンションたけーなぁ。 その隣に里瑠くん。 「おっ、しゅうくんお目覚めか」 「ん。里瑠くん夜釣り行ってたんだね。」 長靴にウィンドブレーカーって、わかりやすい格好で。 頷いて、ふにゃって笑うから一瞬で癒される。 「茉絢は?」 「んー、仕事帰りにちょっと飲んだら タクシーで寝ちまった。」 それはそれは、お疲れ様です… 「愁くんこそ。撮影のあとに打ち合わせが数本入って午前様だったんだろ?」 起こそうとしたら、ミヤに止められた。って、 そうなんだ…! ミヤちゃん優しいなぁ(じーん) 思わず振り返ったら、 「なに。キモいですけど。」 「ヒド!!」 「まあまあしゅうくん。いつものコトじゃねーか」 肩をポンポン叩かれる。 …俺の顔がいつもキモいって云いたいわけでしょうか里瑠くん。 まさかそんな訳ないよねっ、敢えて突っ込みませんけど! つうか、ミヤはなんで毎回スケジュール把握してるんだろう。 …今度聞いてみよう。 「カナ、あっち」 「洞窟?」 「ん。ちょっと歩くけど」 なんでか俺の腕持ち上げて肩を組む里瑠くん。洞窟の方向をミヤに指し示してそのまま歩き出すから、 「里瑠くん?」 「体重掛けたらいてぇだろ、足。」 「え?」 「オイラも裸足無理だからさ、長靴貸してやれねーけど」 ごめんな? って、いえいえ十分ですよ! 「やさしーなあ、さとっさん!」 「ふふ!」 和やかに笑い合ってるところへ、 「ちょっとー、そこのおじさんたちー」 「置いてっちゃうよ~っ!」 茉絢を先頭に先を行く若者たちに叫ばれました。 「だってさしゅうくん。」 「もーいいよ、おじさんズで…。」 .
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