第二章 突然の模擬戦

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「ん…教室にいた奴は全員間に合ったようだな。優秀、優秀」 授業開始の鐘が鳴ったほぼ直後、グランドに現れたルードが言う。 辺りには動きやすい服装に着替えた生徒達が各々の装備を片手に担任に目を向けている。 もちろん、と言うべきか今日転入してきたばかりのアレクは実技用の服などもっているわけもなく制服のままである。 「さて、前回から言っていたように今日は模擬戦を行う。事前に模擬戦の相手は俺が選定しておいたから、それぞれ発表するぞ」 (おいおい、剣とか槍とか持ってるヤツもいるじゃないか。丸腰の俺が戦ったら危ないんじゃないか?) ルードの言葉に耳を傾けつつも、辺りをうかがっていたアレクは知らず知らず渋い顔をしてしまう。 「――――以上のペアで三組ずつ模擬戦を行ってもらう。勝っても負けても戦闘の結果ではなく、過程を評価するからそのつもりで」 クラスメイトに視線をむけあたりの武器から各々の戦闘スタイルを想像していたアレクだったが、ついぞ彼の名が呼ばれることは無かった。 (転入生だから、模擬戦免除なのか?) 不意に楽観的なことを考えるアレクだったがその思考は、続くルードの言葉に打ち砕かれる。「あと、フェルナンドスにも模擬戦はやってもらう。一人まだ学校に来ていない奴がいるから、そいつが到着し次第試合だ」 「……はい」 渋々と首肯するアレク。 「まだ、来てない人って誰なんでしょう?」 「あぁ、遅刻の常習犯ね」 アレクの呟くような疑問を拾うカレン。 「……素行の悪い方なんですか?」 「……違う。いわゆる苦学生という人種」 「苦学生ですか」 カレンの言葉を補足するようにリリーが口を挟んだ。 実際この二人はいいコンビなのかもしれない。
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