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S県某市にあるペンション『白兎』の管理人である音村大輔は、ペンションに客が来ると云う事で施設の点検をしていた。
スキー場にほど近いこのペンションでは、冬場にでもなれば客が賑わうため、多くの従業員を雇うのだが、六月という梅雨の頃であり、大型連休があるわけでもないこの時期は完全に季節外れだったため、特に多くの人手を必要とする訳ではなかった。そのため、他の従業員は一人も居らず、多くのことを彼一人で行わなければいけない羽目に陥っていた。
「どうして、こんな時期に来るんだ」
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