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「なんてことが、わしが退職する少し前にあったんだよ」
松原はそんな言葉で、それまでの話を締めくくった。
「お義父さん、あまり裕輔に変な話をしないで下さいよ」
松原の娘婿である芦浦裕弥が松原の隣で小言を言う。
「変な話とは失礼だな。わしの数少ない心残りの一つなんだぞ」
松原は不満そうな表情で裕弥をにらみつける。そして、一転優しい顔を芦浦裕輔に向けると、
「裕輔は、こんな話退屈か?」
すると、祐輔は首を横に振り、
「ううん、楽しいよ。で、その後どうなったの? 犯人は捕まったの?」
まだ小学五年生になったばかりの子供らしく、そんな直接的な表現で祖父に問いかける。
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