二人の男の問題

3/14
214人が本棚に入れています
本棚に追加
/65ページ
 彼はそんな不満を口にしつつ、施設には特に問題がない事を確認していった。施設とは言っても、電気、ガス、水道などの基本的な物しかない。このペンションはペンションとは名ばかりで、いくつかのコテージを併設しただけの場所であり、基本的にはただ寝る為の場所を提供する事のみを業務としていた。そのため、音村が客に対して何か世話をすると云うわけではなかった。それでも、客が来ている間は気を張っていなければいけない、と彼は憂鬱だった。 「特に問題はないな」  施設の点検を終えた彼はそう独りごちると、後、一時間ほどでやってくる筈の客を出迎えるために、管理人室へ向かった。
/65ページ

最初のコメントを投稿しよう!