4章 脱落

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9月21日(火)続き いっそのこと、モバイルキャッスルをやめて、全てを忘れようと思いました。 所詮は、携帯の中の出来事です。それで、みんなと綺麗さっぱりさよならできる。誰にも文句は言われない。 現実と違って、この世界は簡単だと思いました。 でも。 ……でも。 Yoshi-kiの写真が、脳裏に甦ります。 マイウイング――僕の翼。 僕は、翼を探さなければいけない。記憶を呼び戻すために、僕は翼が必要なのです。 逃げていたら、何も手に入らない。全てを無にしてお終いです。 僕は、自分のマイページにアクセスします。 送信者:黒狼 送信先:光 日時:2010/9/21(火)12:08  まだ写真の感想を聞いてなかったよ。  怖くて返信もできないのか?  早くお前をあの写真の女の様にしてやりたいぜ。 ……昔、聞いた事があります。 恐怖とは、目に見えないから怖いのだと。 そうだとしたら、マイウイングを含めた、モバイルキャッスルの世界全てが怖くなってしまいます。 でも――そんなことはありません。あってはいけないのです。 僕は、マイウイングを守りたい。 送信者:光 送信先:黒狼 日時:2010/9/21(火)12:12  脅しには屈しません。  もう一度言います。  僕の要求は一つだけです。  これ以上、マイウイングに関わらないで下さい。 大切なもの。 大切な場所。 その先に、僕の翼がある。
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