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人の携帯を開くことにためらいつつも、哀しきかな。
男の性には勝てなかった。
携帯を開き、ブクマの2を開く。
23件、
全てエロサイトだ。
その内の半数近くのタイトルが、姉弟………。
…見ていない。
俺は何もミテイナイ!
自分に強く言い聞かせる。
勿論、その辺りは避けた、適当な掲示板にとぶ。
選ぶトピは一番上。
これはいつも決めている。
そうじゃないと決められないのは、何故なんだろう。
そこの動画の
やはり一番上をダウンロード。
一つ、スッと息を吐く。
俺はその動画に意識入り込ませる。
ズボンとパンツを脱ぎ
指先を絡める。
指先と手首が、一定のリズムを刻む。
指先から、しっかりと握る。
歓喜の脈を打つ。
それを貪婪に追い続ける。
何かが俺を満たす。
満ちたものはなんだ?
知らない、知る必要もない。
高揚の頂点に立つ。
それでいい。
それを知っていればいい。
感度が限界を超える。
耐えようとして、息苦しくなる。
「うっ」
甘美な時の消失。
過ぎた後にくる無力感を受け止める。
ティッシュが、中で熱を持つものを優しく包む。
それを投げ、放物線を描いてゴミ箱に入る。
先程まで、重かった気がした身体が軽い。
でも、妙に瞼が重い。
それに逆らう事を辞め
携帯を縁に置いて、素直に目を閉じてしまう。
意識が闇に落ちるのに、時間はかからなかった。
一時間程が過ぎた。
コソリとドアを開ける。
「まったく。」
腰に手を当て、気持ち良さそうな寝息をたてて眠る弟を見下ろす。
縁にある携帯を取り、アクセス履歴を見て、静かに笑う。
朝起きたら、都合良く
今晩の事を忘れる事が出来る弟を羨ましく思う。
昔からそうだった。
何故?
とは、思う。
でも、人なんて皆そんなもんなのかもしれない。
「まったく。」
先程と同じ言葉を繰り返す。
弟の顔に近付く。
あと少しだけ距離がある。
その距離を詰めたらどうなる?
誘惑の強さに負けそうになる。
でも、辞める。
弟からの距離を離れ、ゴミ箱の中からティッシュを取る。
弟はこれでいいと思う。
幸せな夢を見るだけで…。
入ってきた時と同じように、静かに部屋を出た。
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