擦り切れた記憶

3/15
前へ
/75ページ
次へ
自分の身体を指でなぞる。 「…ベタベタ。」 その後、ため息を吐く。 自分がどうしようもなく変態なのは知っている。 こうゆう夢をよくみてしまう。 自分が登校するのに電車など使わないし。 そんな事を考えながら、机の上をみる。 昨日、英語の宿題を片付けていた。 その時さっきの夢のような妄想が巡った。 自分が嫌になって、ベッドに潜り込んだら…。 「はぁ…。」 まだ、5:30とゆう時刻。 汗臭い身体を流す為にシャワーを浴びる。 髪を乾かしながら、台所に向かう。 テーブルに置かれた、置き紙には『遅くなる』 とだけ、書かれている。 朝5:30より早く出て、夜遅くに帰ってくる親の仕事を想像する。 …自分がどうしようもない変態である証明の確認でしかなかった。 そこから、弁当を作り始めると 兄(にぃ)がやってくる。 パンツに手を入れ…ボリボリかいている。 (下品!) 「あいつら、おせーのか?」 「…みたい。」 「じゃあ、今日 女連れ込むわ。」 「ふぇ!?」 「だから、今日7:00ぐらいまででいいからさ、 どっかで、時間潰してきてくれ。」 「急すぎるよ!」 「ぁ~…、じゃあ、一緒に抱…イテェ!?」 最後まで言う前にスネを蹴りつけた。 「…痛ぇ~。 たくっ、お前も、どっかで男と遊んでこいよ。」 「あぅ…。」 「好きな男とかいないの?」 「…いないもん。」 「じゃあ、遊べば? 男なんて胸触らしたら、我慢なんて出来なくなんだからよ。」 笑いながら、引っ込む兄。 「エロ兄!」 自分が変態なのは、いくらか兄のせいであるのは間違いない。 弁当箱を風呂敷で包み、髪をセットしに洗面所にいく。 終わった後に台所に戻ると、兄が弁当箱を持ってすでにいってしまったみたいだ。 (好きな…人か……) 小さい時、一人いた。 でもそれは、道端で偶然会った知らない人。 名前が思い出せそうで、思い出せない。 小学2年の話しだから仕方ないと思う。 あの日……。 「ううん、もうきっと会えないから。」 小さく首を横に振る。 弁当をカバンにつめて、家を出た。
/75ページ

最初のコメントを投稿しよう!

52人が本棚に入れています
本棚に追加