52人が本棚に入れています
本棚に追加
「世界に一人って…60億分の1だろ?
まず、当たるわけないじゃん。」
「これだから女に興味のないやつは。」
やれやれ、と首を横に振られる。
「む、苦手なだけで興味はあるぞ?」
「ま、そのへんはどうでもよくてさ。」
「うぉい。」
「ひろとも送って、当たったら俺にくれ。」
「えー、ひたすらめんどっ。」
「いいか…。」
つぼは俺の肩に片手をポンと置く。
「ひろと一人が協力してくれるだけで、60億が30億になるんだ、どうだ?」
「め…………。」
「んどい」、そう言おうとしたが、両手で肩を掴み必死の形相が目の前にある。
「頼む。」
肩を掴んだまま、つぼは頭を下げた。
「え、わ、わかった。」
気を呑まれ、つい同意してしまった。
「ありがとな~、心の友よ~。」
最早、苦笑いも引きつっている俺だが、つぼは気にした様子もなく
この広告のURLを送ってきた。
ここで一限目開始のチャイムが鳴ったが、「今すぐ送ってくれよな」と、念を押された。
席は隣り同士だから、逃げれそうもなく、俺は悟られないようにため息を吐くしかなかった。
最初のコメントを投稿しよう!