咲かない花

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「世界に一人って…60億分の1だろ? まず、当たるわけないじゃん。」 「これだから女に興味のないやつは。」 やれやれ、と首を横に振られる。 「む、苦手なだけで興味はあるぞ?」 「ま、そのへんはどうでもよくてさ。」 「うぉい。」 「ひろとも送って、当たったら俺にくれ。」 「えー、ひたすらめんどっ。」 「いいか…。」 つぼは俺の肩に片手をポンと置く。 「ひろと一人が協力してくれるだけで、60億が30億になるんだ、どうだ?」 「め…………。」 「んどい」、そう言おうとしたが、両手で肩を掴み必死の形相が目の前にある。 「頼む。」 肩を掴んだまま、つぼは頭を下げた。 「え、わ、わかった。」 気を呑まれ、つい同意してしまった。 「ありがとな~、心の友よ~。」 最早、苦笑いも引きつっている俺だが、つぼは気にした様子もなく この広告のURLを送ってきた。 ここで一限目開始のチャイムが鳴ったが、「今すぐ送ってくれよな」と、念を押された。 席は隣り同士だから、逃げれそうもなく、俺は悟られないようにため息を吐くしかなかった。
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