52人が本棚に入れています
本棚に追加
メールを送ることは、教師がくる前に片付けた。
ただ、今は机の影に隠しながらもう1度その広告をみていた。
(うさんくせ。)
それが正直、最初に思った。
まず、〆切が今月末…、って、今日だし。
そこで、隣りのつぼを見れば
ヨダレを垂らしながら、別の世界に入っている。
(理想……かぁ。)
正直、自分の理想の女
と、ゆうのが全く想像出来ない。
無理にでもその像を創り出したくて、目をつむる。
そこにはやはり何もない暗闇。
「俺の授業を聞かずに携帯か?」
その言葉で、指が自然と電源ボタンを2回叩く。
「いや…とくに……。」
何も言い訳も浮かばず、曖昧な言葉が漏れる。
「まぁ、見せてみろ。」
携帯を教師に取られる。
そして、いささか問題のある待ち受けを見られてしまう。
「ん、これはなんつうアイドルなんだ?」
「…姉貴です。」
クラスの連中が、皆笑う。
ただ、隣りのつぼだけはマジデ?マジデ?
と、携帯を見ようとして、小突かれる。
「ふん、まぁ携帯は没収だ。
3日後に職員室に取りにこい。」
「うわー…マジっすか?」
「大マジだ。」
と、言ってここで授業が再開される。
(うーん、ついてない。)
一つ、ため息を吐く。
姉貴が待ち受けになっている。
よくあることなのだが。
今回は昨晩、
風呂入ってる隙に、姉貴が「新作の水着買ったんだ」とか言って
勝手に人の携帯で写メり、待ち受けにしていた。
しかも、ご丁寧にフォルダにロックをかけてるし。
変えたくても、変えられなかったって、わけで。
そうゆう姉なんで苦労する。
性格が軽いので、色々助かることもあるんだけど、
マイナス面もそれなりにある。
でもあの、無垢な瞳で「だめ?」と言われると
ついつい許してしまう。
まだ一限目だが、今日何度目かわからないため息を吐いた。
最初のコメントを投稿しよう!