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放課後、
いつもの帰り道。
鼻歌混じりに歩くつぼと、たわいない会話を繰り返す。
「つうか、姉ちゃん待ち受けだったんなら見せてくれよ。」
「なんで?」
「メッチャ綺麗だし、料理できるし、今は看護学校だっけ?
スペック面最強じゃん。」
「いや、普通弟の携帯で自分を写メるか?」
「うーん…、羨ましいな。」
俺がおかしいのか?そう思って頭をかく。
「てか、姉弟揃って
未だにカレカノいたことないんだろ?
2人で性欲処理しあってたりとかすんの?」
「ぁ…。」
「マジ?」
「いや、一週間ぐらいオナってない事に気付いた。」
「そっちかょ、
つうか、俺は二日で限界。」
「はぁ…。」
男達は分かってくれるかもしれないが、コレに気付くと
風邪をひいたように、意味もなく身体が重くなる。
しかも、オカズ採取の携帯は3日後までないし
PCはリビング。
「ぉ、ここだよ。」
つぼが嬉しそうにしているが、それについていけない。
入ると聞こえる、「いらっしゃいませ」だけで、つぼの表情は崩壊している。
店の端の方に引っ張られ
「やべぇー、可愛過ぎ!
俺肉マン買うし!
一杯買っちゃうし!」
もはや、答えるのも億劫だった。
「プリンでも買うわ。」
レジに向かう途中に、適当に一つとる。
つぼは俺の先に並んで待っていた。
俺らの前に一人会計していたが、その若い男もニヤニヤしている。
「先にお待ちのお客様、こちらのレジどうぞ。」
軽く夢見心地だった、つぼの表情が、先程とは違う崩壊をする。
反対のレジに店長と書かれたプレートを胸につけた、おばさんがこちらを見ている。
俺に助けを請おうとするつぼ。
「先に、お待ちのお客様。」
その言葉に涙ぐみながら、反対のレジに向かう背をみて、笑ってしまう。
「お待たせしました。」
その言葉にハッとして、プリンを出す。
店員がクルクルとプリンを回しだす。
「~~~~~っ?」
バーコードが見つからなくて困っているのだろう。
「裏にありますよ。」
その言葉でようやく見つけられ、慌ただしい動きが修まる。
「頑張ってね。」
それをみて無意識に出た言葉。
偉そうだったかな、と思い初めて彼女の顔をみる。
可愛いらしいとを思う顔の頬を赤らめ、照れくさそうな笑顔を返してくれていた。
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