来 訪

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物の怪らしくない答えに昌浩は少し疑問を覚え、勾陣と六合に視線を送る。 「その人間が私達の想像通りなら何も問題はないよ」 勾陣の言葉に合わせ六合も頷きを返してくる。 「でもさ、違うかもしれなんでしょ?一応調べた方がいいと思うんだけど・・・」 物の怪達の想像通りなら問題はないが、その通りだと言いきることができない以上、放っておくのは得策ではないだろう。 「まぁ、それもそうだな。調べないよりはいいな」 わしゃわしゃと後ろ脚で首をかきながら昌浩に同意する物の怪に、勾陣が付け足す。 「それは明日からにした方がいいんじゃないか?今夜もう遅い」 「彰子姫も今日は返ってくるまで起きてると言っていた」 「それ本当!?六合!」 六合はもとより物の怪達が嘘を言う訳はないが、それでも思わず確認してしまう。 昌浩は確かに出かける前に今日は早く寝ると聞いたのだ。 「彰子の事だ。お前を驚かしたかったんだろう」 「彰子姫らしいな」 その姿が楽に想像出来て勾陳は口元に手を当て小さく笑う。その笑みのまま六合に口を開く。 「六合よ、なら昌浩に言うべきでは無かったな」 「そうだな、彰子の無言の責めは覚悟するんだな」 勾陣と物の怪の言葉を受け明らかに表情をしかめる六合。 そしてその姿もまた楽に想像できるものだから、勾陣がさらに笑みを浮かべる。 「なんだぁ、孫~。お姫が待ってるなら早く帰ってやれよ」 「そうだそうだ、お姫のとこに帰ってやれよ~」 猿鬼の言葉をつづけながら竜鬼が昌浩の衣をよじ登っていた。 「お前らに言われなくてもわかってるよ」 猿鬼を抱えて地面に下ろし、衣を上っていた竜鬼を慎重にはがし隣降ろす。 「もっくん達、帰るよ」 「はいはい」 彰子の名前が出て帰る気満々の昌浩の後に続くよう闇に消えていく。 「さて、俺達もねぐらに戻ろうぜ~」 「お~」 雑鬼達も闇にまぎれねぐらに戻っていく。 それを気配で感じた昌浩は歩調を速くする。 すぐ近くで、雑鬼とは言え知らない訳じゃない奴に何かあったら寝覚めが悪い。
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