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礫は昌浩の方まで届いていたが、そちらは六合の霊布が全て防いでいた。
「よそ見をするな勾!」
「心外だな。お前もしていただろう」
素直に礼を言えばいいものを。六合が場違いながらそんな事を思っていた。
難陀たちは息吹を吐いた直後の隙を狙い、突撃していた。
難陀と徳叉迦の突撃を娑迦羅が風で後押しし、凄まじい速さで間合いを詰めていく。
それを迎撃しようと、地面から無数の槍が出てくるがそのすべてが阿那婆達多の結界に防がれる。
その阿那婆達多が六合に一瞬だけ視線を送り、また正面に戻す。
一直線に動いていた二人は土竜の直前で飛び、首めがけて刃を振るう。
ガキィィィン!!
金属同士がぶつかり合ったような甲高い激突音。
切れ味鋭く相当な技量をもつ難陀の刃も、武器の破壊力は随一の徳叉迦の大鎌も僅かに切れ込みを作るだけだった。
(尋常な硬さでは無い)
(こんなの何度もやったら俺たちの武器が壊れるな)
傷を付けられ激昂した土竜が先ほどの数倍はありそうな数の礫を放ってきた。
そして同時に周囲に槍や隆起、地割れを起こし阿那婆達多達の行動を邪魔する。
「数が・・・!」
「多すぎるって!!」
両手で裁いている難陀も数に押され、もともと細かい動作が不得手な大鎌を持つ徳叉迦は全て裁くのはあきらめ、直撃を受けないようにするのが精一杯だった。
僅かな隙間に難陀の前に勾陣。徳叉迦の前に紅蓮が現れ礫を叩き落としていく。
勾陣は石を時に切り落とし、時に通力で砕き後ろには一切通さなかった。
紅蓮は緋炎の槍を旋回させ礫を全てはじき落とし、こちらも後ろには一切通さなかった。
難陀と徳叉迦を庇う様に地面に降り、四人はすぐにばらばらに飛び分かれる。
咆哮し再び礫を吐こうとしている土竜の頭を阿那婆達多の結界が覆い、土竜が自爆する。
土竜がひるんだ隙に娑迦羅の風に乗り、加速した六合の銀槍が難陀と徳叉迦が付けて切りこみの中心を貫く。
「よし!!」
徳叉迦の声とともに土竜は粉々に砕け散り地面へと返っていく。
「なんとかなったな。・・・昌浩?」
安堵の息を付く中、昌浩だけがまだ険しい表情をしているのに紅蓮が気付いた。
「まだ、何かおかしい」
「何かって何がだ?・・・!?」
先ほどまでと全く同じ気配が周囲の至る所から現れる。
数秒と立たず気配の主は無数に姿を現す。
「先ほどの土竜!?」
「さっき倒したじゃない!?」
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