想 人

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「この爺共、殺しちゃう?」 「骸が許せば殺す」 「そうだな。この二人の事を知る者は少なければ少ない程いい」 『!?』 晴明たちを囲う様にいきなり三人が姿を現す。 一人は小さいその体に合わない大きさの純白の衣をはためかせ、余った裾はふわふわと浮いている少女。 一人は金の胸当てと手甲を身につけ、腰に剣を佩き背中に弓矢を身に付けた若く体格のいい男。 一人は漆黒の甲冑で身を固めた妙齢の美しい女性。 その三者が等しく晴明に殺気を向けていた。 太陰と玄武は晴明の左右に並び三者を見据え、そこに異界から青龍と白虎、天后に太裳まで降りてくる。 「貴様ら何者だ!?」 三者に負けない程に殺気を露わにし問い詰める。 白虎と天后に太裳も警戒を緩めず三者から意識を外さない。 さすがに予想外の事態に跋難陀と風神は対応に困っていた。哉なら晴明に付きそうだが、断言はできないでいた。 「あんた馬鹿ぁ?何者だって言われて素直に答える奴なんていないわよ」 少女が明らかに見下しながら青龍に返す。 その言葉に青龍の理性が限界を迎える。 「待て宵藍!」 「止めるな晴明!」 「宵藍!!」 主の言葉を無視することは出来ず、青龍は無理やり殺気を押し込める。 「ん?この気配は・・・」 この屋敷にいる人間は晴明を除いて眠らせた。神気が二つ離れたところにあるが、動く気配はない。 ならばと思い、骸は意識を屋敷の外へと向ける。 土埃を大量に巻き上げるながら車之輔は安倍の屋敷の前で急停止する。 「ありがとう!車之輔!」 『いえ、お気になさらずに』という車之輔の言葉を聞く間もなく、昌浩達は屋敷の門をくぐる。 『っ!?』 潜ってすぐ、昌浩達は歩を止め表情が険しくなる。 「これって・・・」 「ああ。確認するまでもなく緊急事態だな」 青龍達の神気が戦闘の時の程までに高まっている。物の怪の言うとおり、緊急事態だ。 さらに感じた事のない気配が三つ。そして感じた事のある気配に酷似した気配が一つ。 それらが晴明の部屋に集中していた。一体なにが起きているというのだ。 急いで戸を開け沓を脱いで家に上がり、晴明の部屋へ駆けていく。 いつも出迎えてくれる彰子が来ない。それに気付くと昌浩の歩はさらに早くなる。 「じい様!」 『晴明!!』 既に開いていた妻戸から中を覗くと、まさに臨戦状態だった。
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