想 人

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ちなみに骸が彼女を子ども扱いすると、外見相応にしっかりと甘えてきたりする。 骸以外、たとえ仲間でも子ども扱いされればそれなりに報復を受ける。拳骨とか。 拳骨で可愛らしいと思ったら大間違い。彼女の拳骨は大岩すら砕く。 それでも雷虎達が無事なのはひとえに、彼らの方が武術に優れているからだった。 その中、何故が哉が無事なのかというと― 「哉(こいつ)が迦具土(こいつ)じゃなかったら八つ裂きにしてるのに・・・!!」 全員が確実に一歩は引いた。目が本気だ。 迦具土の魂を持つ哉が死ねばその肉体たる骸も長くはもたない。だから手を出せなかった。 「はいはい。月華はおとなしくしてよ~ねぇ」 と子どものようにあやされ、骸に後ろから抱えられる月華。彼女もそれで機嫌を直し、満面の笑みで腕の中に納まっている。なんとまぁ、わかりやすい性格か。 「骸は月讀に甘すぎる。仮にも三貴子(みはしらのうずのみこ)なのだぞ」 雷虎が腕を組み骸の腕の中で納まっている、最高位の神格を有する少女を睨んでいた。 三貴子。天照大御神や素戔嗚尊と同じ、伊弉諾が生んだ最も貴い神々。その一人が今骸の腕に心地よさそうに包まれている月讀命(つくよみのみこと)である。 三貴子はその神格の高さや貴さから三貴神と呼ばれる事もある。 月の象徴であり夜を統べる月神である月讀命。自分よりも遥かに高い神格を有するのならば、それ相応に振舞ってほしいと雷虎は常々思っていた。 「なぁに、御雷~。羨ましいの?」 今彼女に殺意が芽生えたとしてもそれは雷虎の責任ではないだろう。 「御雷、お前、月讀と一緒にいて大丈夫なのか?」 そこに哉が心から同情した優しい声を投げかける。そばにいる跋難陀と風神も眼差しで「大丈夫?」と語っていた。 「大丈夫でなくともこいつが馬鹿であるのは仕方のない事だ。諦めるしかあるまい」 「達観してるな」 「好きでしている訳ではない」 哉と雷虎の会話に月讀が何か喚いているが二人は無視する。 骸がそれをなだめ闇朧がやれやれと言った風情で眺めていた。
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