第一章前編「前略、俺へ」

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… ふと塞がっていた目をこじ開けてみた。 まぶたが目に引っ付いているかのようだったが、無理矢理力を入れてみると、半開きながらこじ開いた。 ー 天月(てんげつ)、一片(ひとひら)の霞 ー 「 … !!?」 … 。 … するとどうだ … 。 目に飛び込んだのは驚くような光景だった … 。 ー 夢霧(むきり)、星屑の瞬き、しなやかに ー … 目の前は一面の花畑だ。 この世の物とは思えない程美しく … どこまでも続いている … 。 ー 時砂(とさ)流れ、五月雨の雫 ー … 花畑の先には、手と手を重ね、立っている少女がいた … 。 見た目は俺より幼い。 髪はショートで、どこかの僧侶のような格好をしている … 。 ー 1つ、2つ、3つ、4つ ー ー … ずっと何か呟きながら … こちらの方を見る … 。 ー 命の御霊、数え詩 ー … 澄んだ碧眼 … 。 … 吸い込まれそうだ … 。 ー 最後の刃、約束の地、今降り立つ、ローダンセと共に ー ー ふと、彼女はこちらに手を差し伸べてきた … 。 ー さあ、行きましょう。この先を … ずっと … ずっと … ー ー 俺はその手に自然と引かれた。 自分も手を伸ばして …。 彼女の手を … しっかりと握った … 。 … 。 … すると ー ビュゥンッ!!! 「う、うわっ!!」 … もの凄い風が俺を通り抜け … 。 … 何か … 。 … 白い世界が … 。 … 。 … 広がった … 。
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