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… ふと塞がっていた目をこじ開けてみた。
まぶたが目に引っ付いているかのようだったが、無理矢理力を入れてみると、半開きながらこじ開いた。
ー 天月(てんげつ)、一片(ひとひら)の霞 ー
「 … !!?」
… 。
… するとどうだ … 。
目に飛び込んだのは驚くような光景だった … 。
ー 夢霧(むきり)、星屑の瞬き、しなやかに ー
… 目の前は一面の花畑だ。
この世の物とは思えない程美しく … どこまでも続いている … 。
ー 時砂(とさ)流れ、五月雨の雫 ー
… 花畑の先には、手と手を重ね、立っている少女がいた … 。
見た目は俺より幼い。
髪はショートで、どこかの僧侶のような格好をしている … 。
ー 1つ、2つ、3つ、4つ ー
ー … ずっと何か呟きながら … こちらの方を見る … 。
ー 命の御霊、数え詩 ー
… 澄んだ碧眼 … 。
… 吸い込まれそうだ … 。
ー 最後の刃、約束の地、今降り立つ、ローダンセと共に ー
ー ふと、彼女はこちらに手を差し伸べてきた … 。
ー さあ、行きましょう。この先を … ずっと … ずっと … ー
ー 俺はその手に自然と引かれた。
自分も手を伸ばして …。
彼女の手を … しっかりと握った … 。
… 。
… すると ー
ビュゥンッ!!!
「う、うわっ!!」
… もの凄い風が俺を通り抜け … 。
… 何か … 。
… 白い世界が … 。
… 。
… 広がった … 。
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