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その兵が、その剣が見えた時、主君を庇うこと以外の一切が頭から飛んだ。魔法で相手を止めることも、消すことも、王を避難させることも思い浮かばなかった。ただ本能で、あの人を守らねばならないことだけ理解した。
斬られてから、漸く馬鹿みたいに他のやり方があることに気づいた。
――ああ、きっと将軍に馬鹿にされる。でも、目の前のこの人が助かるなら――…
するとその女王が驚いた顔をしてこちらを振り返り、確かに自分を見た。リルの体を稲妻が走る。
(目が――合った……)
それはやっぱり綺麗で、閃光のようで。
リルは我知らず微笑んだ。
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