おままごと

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ガチャン。 玄関を開ける音がする。 雅志が帰ってきた。 「おかえりなさーい!」 私は走って抱きついた。 「ただいま。」 それだけ言うと雅志は 払いのけるように私を離すと さっさと部屋へ直行してしまう。 ・・・ 2年目なんて、こんなもんか。 彼は雅志、24歳。 私の彼氏。 東京に隣接した県の この部屋で一人暮らしをしている。 私は東京の女子大に通う19歳。 都内で実家暮らし。 だからもちろん同棲なんてできない。 でも付き合って1年目に 合い鍵をもらったから 学校がない日や 午前授業のときとか 最低でも週2回は ここへ来ていた。 楽しい同棲生活気分。 雅志とはバイト先で知り合って付き合いだした。 私と彼のバイト先。 それは有名な巨大遊園地。 夢の国。 私は小さい頃から この夢の国で働きたかった。 もうバイトするならここって ずっと考えてたから 初めてのバイト 初めての彼氏。 大学は退屈で おもしろくなかったけど バイトは楽しかったし バイト先で彼氏に会えるし この部屋には いつでも来れるし。 毎日が楽しかった。 たぶん人生で一番 輝いてた。
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