Chapter.1

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 東雲樹。  年齢不詳。  見た目20代半ば。  一流の暗殺者。  性格は大雑把で面倒臭がりで……以下略。 「あの~さ、意味分からないんだけど」  俺の言葉を聞くやいなや、再び表情を般若のそれに変えると、 「っっったく! レンはどうしてこう理解力に乏しいのかな! やっぱりあれ? 今流行りのゆとりってやつ?」 (いやいやいや、さっきの説明で全ての意図を汲み取れる人がいたら教えて欲しいよ)  俺の心中を察したのかどうかは分からないが、樹さんは深いため息を吐くと腰に両手を宛がい、先程とは打って変わって、キリッと真剣な表情になった。 「初仕事よ。今回私の元に依頼が届いたの。難易度的には……まぁ楽勝。命の危険も殆ど無いし、対象も雑魚以下だから問題無し。最初にはうってつけね」  樹さんが流暢に依頼内容を説明し始める中、俺は座椅子にもたれ掛かりながら茶を啜っていた。  樹さんの事だ、この依頼を受けたのも俺に自信をつけさせる為に違いない。  俺からしてみれば、最初から楽勝と分かっている仕事にテンションは上がらない。  でも樹さんの気遣いを尊重して、文句は何一つ言わず受けようと思っていた。
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