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「彩波学園に通うメルベール家令嬢、アイリス・ファン・メルベールを殺害しなさい。期限は一ヶ月以内。場所、手段は問わない。確実に仕留める事」
「はぁぁぁぁあ!?」
(ちょっと待てちょっと待てちょっと待て)
正直、動揺は隠せなかった。
樹さんの持って来た仕事。
それは女子高生の殺害だったからだ。
「樹さん!? え、それどういう事?? 意味分かんないんだけど」
今度の俺の問いには樹さんは顔色一つ変えず、至って真剣な面持ちのまま、
「内容はちゃんと説明したわ。依頼人の動機や思惑なんて関係ない。私達は暗殺者。受けた仕事は黙って遂行するのみ。余計な詮索は必要ないわ」
今までに聞いた事も無いような冷酷で突き放すような声色。
確かに樹さんの言う事は正論だ。
俺達は依頼を黙って遂行しなければならないんだ。
それが例え間違った殺しだとしても、俺達にとって依頼人は神に値する。
だけど、
「樹さん?! なんでこんな依頼を受けたんだ? なんで──」
「シャラップ!!」
俺の言葉を遮る樹さんの怒声と共に、俺の眉間には銃口が押し付けられた。
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