Chapter.1

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 俺と樹さんは一ヶ月前にこの地へやってきた。  それまでは日本の沖縄という場所で優雅とは程遠い生活を送っていた。  俺の母さんは北欧の生まれで、俺も親父と母さんが亡くなるまで母方の実家で暮らしてたらしいのだが、亡くなって以降は樹さんと二人で沖縄へ移り、先に述べたように血ヘドの出るような特訓をしていたんだ。  それで今回何故この地へ来たのかというと、俺の今住んでるアパート、昔親父が隠れ家にしていた場所の掃除と、何かを物色する為に樹さんと俺はわざわざ出向いたのだ。  結局掃除は俺一人でやる羽目になったし、樹さんはここに来て以降一人でふらふらしている。  そして何か用事がある時は今日みたく唐突にやって来るのだが……。  しかし今回の件に関しては用事~くらいでは済みそうもない。  仕事……殺しをしなければならないからだ。  更に言えばその標的のいる学園に忍び込むときている。  更に更に言えば標的は女の子な訳で……かといって樹さんの気持ちを無下には出来ない。 「俺は一体どうしたらいいんだよ」  だから自然と独り言も増えてしまうのだ。
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