Chapter.1

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「ま……ほ……さん?」 「ま・ほ!」 「ま……ほ……」  強引にそう言わせると、彼女は満足したのか満面の笑みになり、「呼び捨てとか照れるなぁ~」等とふざけた事を言い始めた。  自分で言わせたくせになんて奴だ! と思うも、とりあえず安堵のため息をつく。 「レンレン、次もし北川さんとか、まほさんとか言ったらまっほまほにしちゃうんだからね! がおー」  そんな俺に向け、麻穂は両手で頭に角を作り訳分からん事を言い出す。 (まっほまほってなんだよ) 「ふ……ふふふっ」  そんな俺と麻穂のやり取りを見ていたアイリは、相変わらずのぼんやりとした表情で笑いをこぼした。 「麻穂は相変わらず元気ね。片桐君、困ってるみたいよ?」  そう言うと俺の方へと向き直り、 「アイリス・ファン・メルベールです。長いから、さっき麻穂が言ったみたいにアイリでいいわ。よろしくね、片桐レン君」  彼女はそう言うと、スッと手を差し延べてきた。 (握手か……まぁそれくらいなら) 「よ、よろしく」  俺は彼女の透き通るように白くて美しい手を握った。 「うん、やっぱり思い違いだったみたい。悪い人ではないみたいね」
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