196人が本棚に入れています
本棚に追加
彼女の蒼い瞳が真っ直ぐに俺を捕らえる。
吸い込まれそうな程の深く蒼い瞳。
その瞳は俺ではなく別の何かを見ているようにも思えた。
「あ、アイリさん?」
俺の声を聞くと、彼女は軽く微笑み、
「あなたは優しい人なのね」
そう言い席を立った。
「アイリ! 保健室行くの? お弁当まだ残ってるよ?」
麻穂はどこか慌てながら席をフラフラと離れるアイリの腕を掴む。
体調でも悪いのか? と思いはしたが、そんな感じはしない。
「うん、お薬飲まなきゃいけないし……ごめんね、麻穂がせっかく作ってくれたのに」
「そんな事はいいの! 私とレンレンがアイリの食事を邪魔しちゃったんだし」
(おいおい、俺も悪いのかよ)
少々聞き捨てならない言葉ではあったが、どことなく口を挟める雰囲気ではなかった為、俺は麻穂とアイリを交互に見比べながらある事に気付いた。
飯……食べていない。
「と! ゆ~事で! まほはアイリと一緒に保健室へ行ってきます! だからレンレンは一人でお留守番でぇ~っす! お~けぇ~い?」
今から食堂行って間に合うか? いやそもそも食堂の場所知らないし……飯……
「レンレン!?」
「あ?!」
最初のコメントを投稿しよう!