Chapter.1

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「もう聞いてなかったの? いい!? 愛しのアイリと離れるのは寂しいだろうけど我慢するんだぞ! じゃないとまっほまほだかんね!」 (だからまっほまほってなんだよ)  麻穂は俺の鼻を人差し指でちょんっと押しながらに指摘する。  まっほまほがどういう罰なのかは分からないが、とりあえず俺は首を縦に振った。  そんな俺を確認すると、ちびっこ麻穂はアイリの手を引きながら教室を後にする。  さて、次は俺のとりあえずの目標を達成せねばなるまい。  それは勿論、昼食の確保だ。  じゃぁまずは食堂に…… (だから俺食堂の場所知らねぇじゃん) 「ま、まほ!」  と、先程までうるさく喋り続けていた麻穂に聞こうとしたものの、そこには彼女達の姿はとうに無く、他の連中も各々で好き勝手会話に華を咲かせている。 (くそ! こうなりゃ自力で見付けてやる!)  決心した俺は、空腹を満たすべく颯爽と教室を後にした。  そして、まぁ当然ではあるが、だだっ広い学園内で迷子になった。  運良く辿り着いた職員室で食堂の場所を聞いた頃には、既に始業のチャイムが鳴っており、俺はこの日めでたく昼食抜きになったのだ。
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