Chapter.1

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 気乗りはしない依頼ではあるが、そう思う事で一歩一歩前に進める気がする。 「情報……情報……」  でも問題なのが情報の集め方だ。  むやみやたらに彼女の周りを探ろうものならすぐに怪しまれてしまう。  それに学園の連中の感じ……正直言ってあまり他人に関心があるようには見えない。  むしろ自分の事だけで、他人の事は知りませ~んといった具合だ。  まぁ……麻穂といったイレギュラーはいたが、多分クラスの連中に聞いても得られる物はなく、ただ怪しまれるだけで終わるだろう。  ならば、 「猶予は一ヶ月……この時間をフルに活用するしかないよな」  頼れるものは自分のみ。  改めて思うが、暗殺者とは孤独なものだな。  親父もこうだったのだろうか?  あぁ……親父には樹さんがいたっけ……それに母さんも……。  俺には誰がいる?  樹さんはいるが親父の時とは違って右腕だとかそういったものではない。  後見人兼保護者兼仲介人。  それが樹さん。 「あぁー! 考えても仕方ねぇ!」  そうだ、考えても仕方ない事。  今はとりあえず、 「腹減った。飯だ飯」  さっきからうるさく鳴り続けている腹の虫を黙らせる事が先決だ。
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