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「まったく……で?」
銃を太股に備え付けてあるホルスターに仕舞うと、彼女は深いため息をついた。
今日の樹さんは何故かミニスカである。
胸元に〝海人(うみんちゅ)〟と書かれた黒のロングTシャツにデニムのミニスカ……うん、彼女の私服はいつもながら斬新だ。
これなら普段通り、レディーススーツの方がいい気がするんだがな。
とりあえず、今は樹さんの目が笑ってないからその事には触れず、さっさと報告を済ませて食事にありつく事にしよう。
「標的とは同じクラスになった。席は彼女の真後ろ。一言二言会話はしたが……それくらいだ」
「真後ろ……うん、考えようによったら好都合かもね。自然と会話の入ってくる位置だし、誰にも怪しまれずに接近したとすれば問題ないわ」
「気にしなくてもクラスの連中は興味示してないよ。自己紹介の時こそ瞳の色で騒がれはしたもののそれっきりだ」
「そう……でもレンの失態には変わりないけどね」
そう言う樹さんの目はやはり笑っていない。
いやむしろ……怒っている。
かなり。
「それで? 変わった事は?」
樹さんは矢継ぎ早に言葉を続ける。
変わった事……いや、今日が初日だった訳で、何がどう変わっているのかなど分かるはずがない。
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