Chapter.1

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 目覚まし時計のけたたましいアラーム音で目が覚めた。  しかしながら、実に気持ち良い朝である。  自分の置かれている状況を鑑みれば、とてもではないがそんな気分になるはずがない。 「ん~……くはぁ~」  欠伸をしながら体を伸ばすと、パキッパキッっと小気味よい音が鳴った。  本日も快晴のようだ。  暖かい光が窓から差し込み、爽快な風が頬を撫でる。  車が数台、家の近くを通り過ぎた所で時計を確認。 「へ?」  ……さてさて、非常に信じ難い事が起こってしまっているようだ。  何度も……何度も何度も何度も確認するが、時計の長針が一分、二分、と時間を刻んでいくだけである。  時刻はAM09:27。  始業時間を一時間も過ぎている。  と、まぁここまで言えばだいたい分かるだろうが…… 「ち、遅刻じゃねぇかぁー!!!!」  不本意ながらも連続遅刻をしてしまった。  朝気持ち良く目覚めれたのは、単に長く寝た事が理由だったらしい。  とりあえず紺色で襟に白のラインの入ったブレザーを着て、ある程度身支度を整えると、 「やっべぇぇぇぇ!」  全速力で学園へと走った。  そりゃもう……過去最高スピードで。
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