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前の席では相変わらず、アイリがぼんやりと授業を受けている。
しかし彼女はえらく余裕のようだ。
他の生徒が必死でノートをとっているのに対して、ぼんやりと教師を見つめ教科書を手でなぞっているだけなのだ。
ちゃんと勉強しないと後で痛い目見るぜお嬢様、などと言いたくなりはしたものの、勉強等ろくにした事のない俺にだけは言われたくないだろう。
(しっかし不思議な子だよなぁ~)
授業が淡々と進んでいく中、俺は昨日と同様に居眠りの準備に取り掛かった。
授業? そんなもの依頼を完遂したらこの学園ともおさらばなんだ。受ける意味がない。
だからとりあえず……
(おやすみなさい)
机に伏して夢の世界へと旅立つんだ。
超一流の進学校に編入してきて、遅刻して、蒼い目をしてて、更には授業中居眠り。
もし俺に関心のあるやつがいたら、奇異な目で見られていただろう。
いや、関心がなくても見られるかな。
しかし……これでは目立ち過ぎのような気がしてならない。
目立たないよう目立たないようにやっているはずが、逆効果なのか?
樹さんに言われたからではなく、マジで早急に依頼を片付けてしまった方が良さそうだ。
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