Chapter.2

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 正直、俺はそれが気になって仕方がなかった。  昨日の二人のやり取りを見ていただけではあるが、少なからず親密な関係にある事には間違いない。  更に言えば、昨日あれだけ元気だったにも拘わらず、風邪などひいたとは考えにくい。  いや、風邪なんて誰でもひくし、可能性が無い訳ではないのだが…… 「そういえば、今日麻穂はどうしたの?」 「うん、風邪をひいたみたいで……今朝は可哀相だったわ」  風邪かよ……何とかは風邪ひかないと言うがそうではないんだな。  ん? この学園に入れた時点で馬鹿ではないのか……俺と違って。  更に気になる事はある。昨日あれからどうしたのか? と聞きたい所ではあるが、親しくない間柄で根掘り葉掘り聞くのは良くないだろう。  しかしまぁ、今こうやって一緒に下校している訳だし、少しは聞いてみてもいいかなぁ~なんて思ったりはする。  まだ日が高い昼下がり、閑静な住宅街を歩きながら俺は、初夏の涼しい風に髪を靡かせているアイリを見た。  見た所で何か違和感を感じた。  アイリを最初に見た時にも感じた違和感。  それは彼女の視線だった。
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