Prologue

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 ──彩波学園に通う貴族令嬢を殺害せよ。  樹さんが持ってきた仕事は、マフィアのボスやヤクザの頭、腹黒い大人連中の殺害ではなく、女子高生の殺害だったからだ。  正直ね……かなり戸惑ったよ。  自分と同い年くらいの子を、しかも、何か悪事を働いた訳でもなく、ただ普通に高校に通っているだけの女の子を殺害せよ……なんてさ、普通じゃないだろ?  まぁ俺の危惧していた、命の危険は殆ど無いに等しいのだけど。  樹さんの苦労と、この喜びを無駄にする訳にもいかないし、とりあえず受ける事にはしたものの、あまり気乗りはしなかったよ。  気乗りはしなかったけど、やらなきゃいけないんだよ。仕事だからな。  でも、この依頼のおかげで沢山の物を手に入れる事が出来た。  確かに、失ったものは俺にとってかなり大きいものだった。  けど、それと同等か、もしくはそれ以上の物を手に入れる事が出来たと思ってる。  色々と苦労して、考えて、悩んで……最終的に辿り着いた答え。  間違っていないと今なら胸を張って言える。  一つの〝者〟の為に命を賭ける事の難しさや大切さ、俺の記憶に深く刻まれる事になったんだ。
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