Chapter.1

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 築40年の古びた二階建てアパート。二階の202号室が俺の部屋だ。  とはいっても、そこが本当の家という訳ではない。  いわゆる隠れ家というやつで、どうやら昔親父も使っていた場所らしい。  間取りは八畳の和室に、狭いキッチンとこれまた狭い風呂、トイレといった具合だ。  窓は一つで、これもまた年季が入っており、古びた甲高い金属音を打ち鳴らしながら開いていく。  近くには川が流れており、その周辺は朝や夕方くらいになると、犬の散歩やジョギングする人々、更には学生の登下校する姿が見受けられる。  古臭い部屋ではあるが、懐かしくて落ち着く。  さてさて、今日もどこを見ても、色々見渡しても、見下ろしても、平和平和平和~な一日のようだ。 「しごと~……ないなぁ」  俺、つまり片桐レンは今年で16になるわけで、つまりは窓から見える、友達と楽しそうにお喋りをしながら下校している学生達と同じくらいの年代なのだが……  俺の仕事というのが特殊なもので、そのおかげ(?)で今こうしている訳だ。
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