Chapter.2

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「とりあえず今は逃げよう。考えたり話したりするのは後だ」  思考を一時中断。今は狙撃犯から逃げ切るのが先決だ。  しかしアイリは相変わらずの警戒顔。  俺はため息を軽く吐き、 「君を殺したりしない。そう決めたから。俺は君を守る。だから逃げよう」  少し照れはしたものの、漸く決心がついた本音をアイリに向かって吐いた。  アイリはにこりと笑うと、 「偽りのない素直で優しい心……やっぱりあなたは優しい人だった」  ふわふわとするような優しい口調で言い、俺の手をぎゅっと握りしめる。  体温が上がる。顔が上気しクラクラする。  女の子の手はこんなにも柔らかくて温かいものなんだと、俺はこの時初めて知った。 「は、走るぞ!」  くすりと笑うアイリを尻目に、俺は麻穂が走り去った方向とは真逆を目視。一気に駆け出した。  刹那。 「危ない!」  アイリの叫び声が響くと同時に、俺の左目を何かが襲った。 (え?)  視界の半分が暗闇に襲われる。 (な……ナニガオキタ?)  右目に映る景色が朝の清々しい空を映し出した所で、俺はアスファルトの上に仰向けで倒れ込んだ。  意識が遠くなる。  遠くでは銃声が一発。
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