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(ここは……)
目だけを泳がせ辺りを見回してみる。
腕には管が取り付けられその先は点滴へと繋がっている。
簡素なベッド。風が吹き込む窓。窓からは木々と、その先に自分の通っている学園。
(そうか……ここは──)
街の少し外れにある大型病院だ。
見た所個室。管の付いていない右腕を上げ、視界が閉ざされている側へと手を宛がう。
「──っ!!」
ズキズキと鈍い痛みが襲う。
一呼吸。大きく息を吸い込む。
(そうか……俺はあっさりとやられたんだな)
情けない。ある程度の自信があったのにも拘わらずこの有様だ。
しかも麻穂と約束をしてたのに……そうだ!
「アイリ!」
俺は小さな個室に響くくらいの声で彼女の名を叫んだ。
自身の心配をするよりももっと重要な事。
麻穂との約束。アイリとの約束。
「目が覚めたんだね、レンレン」
個室のスライド式扉が開くと、果物を持った麻穂がため息混じりに入ってきた。
「しぶといなぁ~あのままくたばってれば良かったのに……」
残念そうに、わざと聞こえるように言葉を紡ぐ彼女はベッドの横の椅子に腰掛けると、「お見舞い」と言い果物を渡してきた。
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