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「はい、ホットコーヒー。落ち着くから少し飲んで。桐谷の事も大丈夫だから、ミズちゃんは何も心配要らないよ。」
サワちゃんは私を助手席に乗せた後、すぐ近くの自販機でコーヒーを買ってきてくれた。ほんのりとした苦味が頭をクリアにしていく。落ち着いて泣き止んだ私は、何があったのかサワちゃんに説明しながらもう一度自分の中でも整理しようと話してみた。
「そっか、衝突しちゃったんだね。」
「こんなはずじゃなかったのに。克己もリーダーも今より上を目指してる事に変わりないでしょ?なんでこんな…」
大きな手で私の頭を包み込み、小さな声で「しんどいよね…」と呟いたサワちゃんは続ける。
「でもバンドには結構ある話だと思うよ。ちょっとした事で意見が食い違って離れていくメンバーなんて山ほどいるし、その分きっと新しい仲間に出逢える。一生今のメンバーでやり続けていくなんて、人数が多い分、きっと恋愛よりずっと難しいんだよ。DDにも似た様な悩みはあるし…桐谷から聞いた?」
聞いてない、桐谷は何でも話してくれるけどプライドが高いせいか絶対弱音は吐かない。誰かが気付かなければずっと1人で抱え込んでしまう責任感の強すぎる所があるし…DDで悩みスカンクも衝突、立て続けに問題がおこってしまった桐谷が心配になる。
「その顔は聞いてなかったんだね、まぁ桐谷が言う訳無いか。俺も今日初めてミズちゃんに話した訳だし。情けない話だもんな。」
「なんで?ってか、話し合えばお互い納得できるかも知れない事を、一方的に自分の言い分だけで決めちゃうのが悪いんだよ。みんな向き合おうとしてるじゃん、何も情けなくなんか無い!」
「うん、そうだね。ミズちゃんは本当にスカンクが好きなんだね。ってか、仲間とかメンバーとか、みんな大切なんだね。」
「みんな大切だから…頑張ってるんでしょう?」
サワちゃんの言おうとする事がなかなか理解できずにいると、少し「ん~…」と考えた後でこう話してくれた。
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