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「さて、朝ご飯にしよっか。早くしないと学校に遅刻しちゃうぞ」
飛鳥は沙弥の頭から手を放した。
「は~い」
沙弥は元気良く返事をすると家と戻っていった。飛鳥もその後を続く。
ドックン
「あ………」
突然、飛鳥の世界がグニャリと曲がり、飛鳥は崩れ落ちた。
「お、お兄ちゃん!?」
沙弥が慌てて駆け寄る。
「お兄ちゃん!大丈夫!?」
沙弥が揺すっても反応が無い。
どこまでも続く草原。
黒い服に身を包んだ少女。
「…絶対に、守ろう。この世界を…。」
「…ちゃん。お兄ちゃん!お兄ちゃん!!」
「…あ、…沙…弥…?」
飛鳥はゆっくりと目を開けた。
「よ、よかったよ~…。今度こそ起きなくなっちゃうんじゃないかと思った…」
沙弥は泣きべそをかいている。
「ごめん…心配かけたね」
飛鳥は体を起こした。息が少し荒く、冷や汗がにじんでいる。
「本当に大丈夫?今週に入ってからもう五回も倒れてるんだよ?」
「大丈夫。きっと疲れてるんだよ。ここんとこ忙しかったから」
「…本当に?」
沙弥は心配そうに飛鳥を見た。まだ少し目が潤んでいる。飛鳥は沙弥の頭に手を置いた。
「お前は心配しすぎだよ」
「…分かった。本当に…」
「てや!」
ビシッ
「痛!」
飛鳥のチョップが沙弥にヒットした。
「さ、ご飯にしよっか」
「…うん!」
沙弥は飛鳥に腕を絡めた。
「ちょっと、歩きづらいって」
「支えてあげてるの。また倒れないように」
「…それはどーも」
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