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皆さんは『長靴を履いた猫』という童話をご存知だろうか?その猫を想像してもらえば簡単だ。
そんな感じの猫が二人の目の前に立っていた。身の丈は50cm程。毛並みは青。黄色いマントに赤い長靴。実にカラフルだ。
『どうなされたんですか?突然大声を出して』
「い、いや、だって…猫が立って…喋って…💧」
「イヤ~ン!カワイ~!❤」
沙弥はそう叫ぶなりその猫に抱きついて頬擦りをする。
『や、やめてくださいよ~!な、何なんですか、この人は!?💦』
「あ~…、ごめん。そいつ、無類の猫好きなんだ💧」
飛鳥はとりあえず謝る。
「お名前は何て言うの~!?」
マンガにしたらハートマークが浮かんでいそうな勢いだ。
『ケ、ケットシーです!いい加減放してくださ~い!!』
「ん~もうちょっと…」
『アスカ様~!助けてくださ~い!💦』
「沙弥、いい加減離れろ」
困り果てた様子を可哀想に思い、助け船を出してやった。沙弥は渋々離れる。
「で、ケットシーだっけ?何で僕の名前を知ってるの?」
飛鳥はしゃがんで、できるだけ目線を合わせた。
『知ってるから知ってるんです』
随分ごもっともな答えである。
『今回僕が来たのは、あなたをお迎えにあがるためです』
「僕を…何処へ?」
『《エグザリム》です』
「《エグザリム》?」
もちろん、聞いたことがない。
『それでは転送させていただきます』
「ち、ちょっと待ってよ!」
「お、お兄ちゃんを連れてっちゃダメ!」
沙弥は飛鳥をしっかりと掴んだ。
『あなたも行きたいんですか?別に構いませんよ。ではお二人を転送させていただきます。』
「そ、そうじゃなくて…」
止めようとしたが時既に遅し。二人は光に包まれると、跡形も無く消え去った。
『…これで良し。後は、アスカ様次第…ですね』
ケットシーはそのまま闇に溶け込み、そして消えた。
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